2016年12月15日木曜日

笑いとプレゼン

2016年も残すところ二週間余りとなりました。

年末の風物詩というのはたくさんありますが、小さい頃から漫才が大好きな私にとってはM-1グランプリがその一つです。今年も面白い漫才ばかりで、優勝した銀シャリは圧巻の漫才でした。(完全な余談ですが銀シャリの鰻さんと私は同郷で、密かに応援していました。)

決められた時間内で聴衆の前で話すという点では、研究者のプレゼンも漫才と共通しています。漫才は聴衆を笑わせることが目的ですが、プレゼンでは自身の研究の面白さを理解してもらうことが主たる目的です。

うまく練られた漫才は本当に無駄がありません。よく笑いは「フリ・オチ・フォロー」といいますが、プレゼンにもそれが当てはめられると思います。

フリは、今どこにいて何をしているのかを共有するのに必要です。お客さんと共通認識をつくります。笑いは「共感と裏切り」というのもよく聞くフレーズですが、そもそも共通認識がないと「共感」も「裏切り」もしようがなく、オチ(ボケ)が活きません。

プレゼンではイントロがフリにあたります。イントロで、発表者が(科学のフィールドの)どこにいて、何が重要なのか、何を(どのように)しようとしているのかを、聴衆に理解してもらう必要があります。そして聴衆と発表者の共通認識を作ります。イントロをはしょってデータに行くのはフリなしでボケるも同じで、だいたいスベります。

もちろん、聴衆の知識によって必要なイントロは変わります。その分野の専門家達を相手にする場合と、学部生達を相手にする場合ではイントロの入りは変わるはずです。またフリが長すぎても締まりません。聴衆、見せるデータにあわせた必要十分なイントロが理想です。とにかくイントロの終わりで聴衆との共通認識を作れれば、イントロの目的は達成です。

オチはいうまでもなく漫才でいうボケです。プレゼンでいうとデータに当たると思います。

どういうデータを見せるかは個性が出るところですが、データ一つひとつは見やすく提示する必要があります。ボケを聞き取れなかったらまず笑えませんから、データも何を見せたいデータなのかをはっきり表示する必要があります。データの見せ方一つで聴衆の理解度は大きく変わります。

データを的確に見せたあとは、フォロー(ツッコミ、考察)が必要です。そのデータからどういう(サイエンス的に)面白いことがいえるのか、データを基に聴衆を導きます。

漫才でも一つのボケごとにツッコミがあることが多いように、プレゼンでも一つのデータごとにしっかりフォローをいれるといいのかなと思います。基本的には1つのスライドで一つのデータ、考察があればすっきりします。(もちろん例外はあります。)

漫才と同様、プレゼンにおいても前後のつながりが大事です。データを見せて、そのデータが次のデータの前フリになっていれば、ストーリーにつながりが出て聴衆も理解しやすくなります。そして大事なことですが、フリに沿っていないデータを見せるのは危険です。フリは必要十分であるべきです。データを見せるなら事前にフリを入れておく、フリを入れたのならそのフリに沿ったデータを必ず見せる、ということです。

また発表時間は限られていますので、持っているデータを全て見せるわけにはいきません。一番重要と思うデータで聴衆の関心がピークにくるように、見せるデータを的確に選んでしっかりストーリーを構成できれば文句なしです。

内容以外のところでは、しっかり練習する、はっきり話す、時間を守る、といったことも漫才のみならずプレゼンでも非常に重要だと思います。

色々書きましたが、私はお笑いは大好きではありますがてんで素人ですし、プレゼンに関してもまだまだペーペーです。

ですがプレゼンの資料作成で行き詰まったときは、笑いの「フリ・オチ・フォロー」を思い出して、フリは必要十分か、オチの見せ方はうまくできているか、フォローで聴衆を引き込める構成になっているかと、笑いを参考にして考えるとだいたい答えが見えてきます。

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