しかし今は「行動してから考える」ようにしています。なんとなくですが、日本人には前者が多くヨーロッパ人には後者が多いような気がします。
考えを変えるきっかけは、論文執筆でした。
私は色々なプロジェクトに手を出してしまっていて、それ自体はいいことなのですが、ひとつひとつのプロジェクトを終わらせる(=論文を書く)のを先延ばしにしてしまう傾向がありました。
論文を出して初めてその仕事が存在したことになりますので、論文を書くのは本来最優先事項のはずなのにです。
私は以前は、データが全て出揃ってから論文を書くようにしていましたが、それには膨大な時間がかかってしまいます。また、論文を書いているうちに新たな穴が見つかり、結局さらに追加実験が必要だと判断する場合も多々あります。
最近は、ある程度のデータが出ればまず論文を書いてしまうことにしています。これには否定的な意見もあるかもしれませんが、先に論文を書いてしまうことのメリットがいくつもあります。
(1) ひとまずストーリーを完結させられる。
(2) 説得力のある論文にするのにどのような追加実験が必要か、より明確にわかる。
(3) プロジェクトを終わらせるモチベーションが上がる。
(4) ボスにプレッシャーをかけられる。
(5) 結局早く論文をsubmitできる。
データをまとめた報告書などでもストーリーは作れるのですが、論文執筆になるとより細部に突っ込むので、ストーリーを明確にできます。また、それによりストーリーに穴が見つかり、どのような追加実験がその穴の補完に必要かが見えてきます。
追加実験の結果次第ではストーリーをごっそり変える必要もでてきますが、そんなことは追加実験の結果を見てから考えればいいのです。
また、先に論文を書いてしまうと、そのプロジェクトが終わりに向かっている実感が持て、終わらせるというモチベーションが上がります。それはボスに対しても同様です。
私のボスは頭は切れるしこちらが望めば相談にも乗ってくれるのですが、基本的には放任主義です。それは私にとってはとてもありがたく非常に働きやすい環境なのですが、他グループとの競争がない、もしくはボスのグラント申請がせまっていない限り、そのプロジェクトを先延ばしにする傾向があります。
その際、論文を書いてしまってボスに送りつけてボスに読んでくれとプレッシャーをかけます。はじめは読んでくれませんが、数回催促すると読んでくれて、コメントをくれます。ここまでくればsubmit一歩手前です。(ここからが長かったりするのですが。。)
この流れで仕事をしていると、プロジェクトの開始から1年以内に論文のsubmitにこぎつけられる場合が多いです。(1年でも長い気がしないでもないですが、データが揃ってから書き始めるというスタイルだと2年はざらにかかります。)
実験でも同じで、私の場合はまずは深く考えすぎる前に予備データを取ってしまいます。もちろん実験のデザインは重要なのですが、データを取る前にあれこれ考えて時間を使いすぎるのも考えようです。どうせ1回の実験でクリアな結果が得られることなんてないのですから、まずは予備データを取ってみて、そこから実験条件を追い込んでいくようにしています。結局時間の節約になる場合が多いです。
日常生活でも同じで、昔は深く考えてから行動するタイプだったように思います。しかし今はとりあえずトライして失敗して、それから考えるようにしています。(それでだいたい最後にはうまくいく場合が多い気がします。)
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