研究室では主にレーザーを使って実験をしています。精密なレーザー装置を多い時には10台くらい同時に動かして1つの実験をしており、1台でも不調だと実験ができません。そして今月初めから不幸なことに1台が不調で、部品を交換するまでしばらく誰も実験できない状況でした。
そして今日そのレーザーがやっとなおりました!渡蘭後三週間目にしてようやく実験が開始できるかと思いきや、なかなかそうはいきません。ここでは3つのプロジェクトでレーザーを共同で使っているので、順番を待たないといけないのです。僕が実験できるのは来月中旬になりそうです。
実験を待ってる間はみんな好きなことをしています。論文を読み書きする人、家で寝る人、他人にチャチャを入れる人、マリファナを吸いに出かける人。何をやろうがやるまいが自由です。 (そのかわり結果がでなくても責任は自分にあります。)
僕はぺーぺーですけどお構いなしに自分のペースで好きな学問をやっています。色々な分野の頭のいい人がいて、学ぶには本当にいい環境です。
四六時中好きなことをして給料をもらっているって、すごく幸せだと感じます。今まで日本国民の税金で長く勉強させていただきましたし、今はオランダ国民の税金で勉強させてもらっています。のちに大きく還元できる人間に必ずならないとダメだと強く思います。

はじめまして!いつも見させてもらってます(^^)自分は今年からイギリスの大学で心理学を学ぶんですが、宇宙物理学にもとても興味がありまして、今高校レベルの物理を復習しております(理系です)高校レベルの物理大学の物理が段違いなのは知っていますが、どうしても大学の物理にこぎつきたいです!なにかオススメの問題集、参考書、入門書、これは読んでおくべき本などありましたら教えてもらいたいです>_<
返信削除オランダでの学問大変だと存じますが、周りは周り、自分は自分で頑張ってください!
はるはるさん
削除はじめまして。コメントありがとうございます。
色々なものに挑戦し、学ぶという姿勢は (サイエンスだけにかかわらず) 本当に素晴らしいと思います。私もそういう姿勢を持ち続けたいです。
さて物理に関してですが、私は宇宙物理学というものを専門に勉強したわけではありません。ですので物理学一般 (力学、光学・電磁気学、量子力学、相対論) について、私がいままで読んだ中で特に入門書として優れていると思ったものをいくつか挙げさせていただきます。図書館や書店でご覧になって合いそうだと思われればお試し下さい。
・『「量子論」を楽しむ本』, 佐藤勝彦 監修 (PHP文庫)
・『「相対性理論」を楽しむ本』, 佐藤勝彦 監修 (PHP文庫)
これらの本は、高校物理にはない概念の「量子論」と「相対論」の概要をほとんど数式なしでわかりやすく解説しています。
・「単位が取れる○○ノート」シリーズ (力学・電磁気学・量子力学), 橋元淳一郎 著 (講談社サイエンティフック)
高校物理の知識があれば十分理解できるようになっていると思います。このシリーズの力学、電磁気学には演習版もあるようです。 (私は使ったことがありませんが。)
・EMANの物理学 http://homepage2.nifty.com/eman/
物理についてまとめてあるウェブサイトです。各トピックについて、非常に噛み砕いた理解のしやすい説明がなされています。
・『ファインマン物理学』 (I~V巻) リチャード・ファインマン 著 (岩波書店)
言わずと知れた名著です。5巻構成で分厚く根気がいるかもしれませんが、おすすめです。ちなみに原著版は全3巻です。
・『「ファインマン物理学」を読む』シリーズ 竹内薫 著 (講談社サイエンティフック)
上記の『ファインマン物理学』のガイド本のようなタイトルですが、この本単体でも十分にいい本です。
・『光工学が一番わかる』, 前田譲治, 海老澤賢史 著 (技術評論社)
「光学」についてはこの本が抜群にわかりやすいです。
大学で学ぶ物理は高校物理に比べれば少しだけ高等な数学を必要としますが、決して段違いとは私は思いません。物理は物理です。概念や現象についてしっかり考えたうえで、数式の助けを借りるようにすれば、必ず物理を理解できると信じています。私も今でも物理学の勉強を続けています。
丁寧にありがとうございます!めちゃくちゃありがたいです!!
返信削除現象や概念を理解することに努めます!
楽しみましょう!
少しでもお役に立てそうならばうれしいです。
削除お互い楽しみましょう。
初めまして。オランダでレーザーの実験をされていると拝見し、、大変興味を持たせていただきました。
返信削除どんな実験なんでしょうか?難しいことは分かりませんが、このウロジェクとが成功することを楽しみにしています。
momiさん
削除初めまして。コメントありがとうございます。
私のプロジェクトは、「タンパク質の光反応の仕組みを解明する」、というものです。
我々ヒトを含め、多くの動物や植物は光で反応するタンパク質をもっており、それらを使って光を生命活動に利用しています。光合成や動物の視覚などはその代表ですね。タンパク質はナノメートルサイズでとても小さいのですが、それぞれある構造を持っています。
光で反応するタンパク質の場合、光を受けるとその構造が変わり、やがて機能を発揮するようになります。構造変化は光を受けてから10兆分の1秒以下の非常に早い時刻で起き始め、その後ミリ秒や秒といった時間スケールまで続いていきます。その構造が変わりゆく過程は複雑で、未解明な部分が多いのです。
そこで我々はフェムト秒レーザー (フェムト秒は1000兆分の1秒) という特殊なレーザーを駆使し、タンパク質の光反応過程で何が起きているのかを解明しようと研究を行っています。タンパク質の光反応を解明できれば生命現象をより深く理解できるだけでなく、色々な科学的・産業的応用に向けたより高機能のタンパク質の設計などが期待できます。
ブログでもそのうち具体的な研究内容や結果その他動向にも触れたいと思いますので、またご覧いただけたらうれしいです。