年明けから、投稿論文や学位論文の執筆、アメリカの研究室訪問、国際学会などで予定がびっしりで、久しぶりの忙しい日々を楽しんでいました。
3月初旬にはイタリアで開かれたゴードン会議なる国際学会に参加していました。ゴードン会議は数百の科学の分野でそれぞれ別々に隔年で開催され、アメリカ・ヨーロッパ・香港のどこかで行われます。
民主制で、次回の開催地やチェアは参加者全員の投票によりその場で決定されるのがおもしろいところです。
私の分野ではこのゴードン会議が最も重要な学会の一つで、その分野の大御所からヤングスターまでが一同に介し、5日間ほどみっちりサイエンスに関して議論します。毎食をともにし、毎日午後の自由時間があります。そこで他の研究者と私生活や研究について話し合い、親睦を深めます。夜も日をまたぐまでワインやビールを片手に語らい合い、さながら学生時代の合宿のような様相です。
ゴードン会議の前には、2日間のゴードンセミナーがあり、こちらは若手が主体のセッションです。サイエンスはもちろん、今後のキャリアパスなどの話し合いもします。私はセミナーと会議の両方に参加しました。
私にとって今回は3回目のゴードン会議出席であると同時に、アムステルダム生活最後の学会です。全くの偶然ですが、4年前のアムステルダム生活最初の学会もゴードン会議、しかも同じ場所での開催でした。
4年前はこの分野に来たばかりで右も左もわからない状況でした。同じ会場に立つと、その情景がフラッシュバックされて懐かしい思いもしました。
今回はゴードンセミナーでディスカッションリーダーを任され、冒頭で10分間のセッションイントロダクションを行いました。5人の若手スピーカーの研究を1つの流れにまとめて簡潔に紹介するのですが、これがムズカシイ。。5人ともそれぞれ毛色の違う研究をしているので、それらを1つの流れに持って行くのは至難でしたが、何とか役割を全うできたと思います。スピーカーの発表はどれも素晴らしく、発表時間も厳守してくれました。聴衆から鋭い質問が次々飛び出し、熱い議論が展開されました。ディスカッションリーダーとしてはとてもやりやすい状況でした。
ゴードン会議のほうでは、短いトークを1つとポスター発表2つ行いました。どちらも大変有意義な時間でした。
午後の自由時間には恒例のサッカー大会が開催され、30人ほどの参加者がフルピッチのコートで1つのボールを追いかけました。共同研究者のフィンランド人の先生が私の足を思いっきりスライディングで削ってきましたが、翼くんバリにかわして事なきを得ました。老若男女、色んな人の人間性が垣間見えて楽しかったです。
思えばこの4年間で色々なネットワークができ、今回の参加者も半数くらいは顔見知りでした。大御所の先生も若手も私がやってきた研究を知ってくれており、4年間での成長を少し感じさせてくれました。
学会の終わりには選挙があり、チェアと開催地の決定が行われました。大変名誉なことに、私は次回ゴードンセミナーのチェアに選ばれました。2020年、香港でのゴードンセミナーの運営を行います。スポンサー集めやプログラム作成などもありますが、どうやら香港でサッカー大会用のピッチを見つけることが最も難しい仕事になりそうです。
私はこの先のポスドクでは少し研究分野を変えますが、この分野の人たちは本当にファミリーのような感じがします。次回はチェアとしての役割もありますので、このファミリーとももう少し、一緒に仕事ができることになりそうです。この2年でさらに成長した姿を見せられるように、今後も精一杯研究を楽しみたいと思います。