ニュースになっていたのはイギリスのTimes Higher Education (THE) という機関誌が発行しているランキングの2016-2017年版で、東大は39位、京大は91位でした。(ちなみにオランダの最高位はデルフト工科大学の59位だそうです。)
中国を筆頭にアジアの大学が躍進し、またランキングの上位には世界中の誰もが知ってるような超有名大学が並んでいます。このランキングを参考に留学先を決める方もたくさんいらっしゃるかもしれません。
大学ランキングそのものには何の文句もありませんが、ニュースを見ているとなんとなく違和感を感じました。THEのランキングを絶対無二のもののように報道されている印象を受けたのです。
ニュースになったTHEのランキングのページを見てみると、2016-17年版の評価基準は教育 (30%)、研究 (30%)、論文の被引用 (30%)、国際性 (7.5%)、産学連携収入 (2.5%) となっていて、各項目でさらに細分化されています。
https://www.timeshighereducation.com/world-university-rankings/methodology-world-university-rankings-2016-2017
特に気をつけるべきところは、その評価基準や割合が大学の優劣の決定に最適かはわからないという点と、それぞれの項目の点数付けがある程度恣意的になってしまう点です。
教育や国際性の項目では、博士号取得者や留学生・外国人教員の割合が重要になり、特に後者は言語の壁が小さい英語公用語の国に有利だと思われます。実際にアジア首位のシンガポール国立大学は国際性は96点、東大や京大は20-30点程度となっています。留学生や外国人教員が多い大学=優れた大学というのはいささか疑問です。(ただしシンガポール国立大学は実際に非常に良い大学だと思います。他の項目のポイントも高いです。念のため。)
また、全体の30%強の点数は、reputation (評判) というよくわからない基準でつけられています。さらに研究分野ごとの被引用数のバランス補正なども行っているようですが、それも合理的な方法かどうか不明です。
あらゆるランキングで上位に来るに越したことはありませんし、それを見て(評価基準を知った上で)一喜一憂するのも楽しいです。しかしランキングが下がったのは教育・研究レベルが下がったからだとか、ランキングのために国を挙げてどうたら、というのは違う気がします。
ちなみに台湾や中国の機関もランキングを作っていますが、日本の機関のものは現在のところないと思われます。日本の機関発行の世界大学ランキングがあっても面白いと思いますので、ぜひ作っていただきたいです。院生・教官の帰宅時刻、学部生のゆとり度、などをふんだんに盛り込むと日本の大学が軒並みトップに躍り出るかもしれません。(冗談です。)
クリックいただいたら何やら(私の)ランキングがあがるようです。