この1ヶ月は私にとってはとても忙しかったですが、学生にとっても非常にタフだったと思います。学生は実験計画を書いては私にダメだしをされ、実験を始めても予想通りに結果が出ず、またタイトなスケジュールの中プレゼンとレポートをこなさなければなりませんでした。
プレゼンは実験の日程が終了した直後に行われました。プレゼンを指導をする時間はなく、ほぼぶっつけ本番で各学生が他の学生の前で10分の発表を行いました。学部2年生の学生ですし指導の時間もなかったので、プレゼンにはてんで期待していませんでした。ただふたを開けてみると多くの学生はしっかりした発表になっていました。小学校の頃からプレゼンをこなしてきたオランダ人、さすがだなと感心させられました。
レポートはWordで作成し、およそ15ページ程度のものとなります。私が日本で受けた学生実験では手書きが基本でしたが、学生にとってはどちらがいいのでしょうか。見やすさや編集のしやすさは確実にWordなどの電子形式の方が上ですが、絵やプロトコルをかくには手書きの方が便利だったりします。また手書きだと書いたときになんとなく達成感がありました。
私は20人分のレポートを採点するので、結構な量になります。ざっと見たところ、20人中半分以上はわりとちゃんと書けています。細かい点を言い出したらキリがありませんが、少なくとも疑問点とそれに対する(実験結果に基づく)それなりの回答を出しています。プレゼンといいレポートといい、オランダ人はアウトプットは上手だなと感じました。
ただ残念ながら、アサガオの観察日記になっているレポートも少なからずあります。
この「アサガオの観察日記」という言葉は、私が大学4年生のときに所属先の研究室の先生に何度も言われたものです。夜通し頑張って得た実験のデータを先生に見せても、「これじゃアサガオの観察日記と何も変わらない」と一蹴されたものです。実験データはそれ自体では重要な意味をなさず、データから何が言えるかが重要だということです。つまりしっかり考察をしろということです。
「〇〇をしました。△△になりました。」だけではアサガオの観察日記です。学生実験のレポートもこれではダメで、疑問点とその意義、疑問点を解決する方法、その方法で得た結果、結果から言える疑問点への回答、という流れが大事です。最後の「疑問点への回答」がない、もしくは不十分なレポートはアサガオの観察日記となってしまいます。
ただし正しく文章を書くには当然トレーニングが必要です。私は修士2年生くらいでやっと何かがつかめたかな、というくらいでした。今でもまだ発展途上です。私が今回指導したのは(見た目はずいぶんふけている学生もいましたが)学部2年生でしたので、その時点で大半がしっかりレポートを、アサガオの観察日記に終わらせずに書けているということには感嘆せざるを得ませんでした。
