2015年12月27日日曜日

留学までの道のり (2) --スカイプ面接--

前回はNaturejobsで博士課程へのポジションへ応募したところまで書きました。

今回は、その後面接を経て受け入れが決まるまでの過程を書きます。

最終的にドイツとオランダのグループから受け入れ許可をいただいたのですが、最終的にオランダを選択しましたので、オランダの話をします。ドイツの面接も同じような流れでした。

(ちなみにオランダを選択した理由は、ボスとの相性、グループの雰囲気、ラボの予算(実験にはお金が必要です)、街の雰囲気、給料の額、などです。)

まずNaturejobsへの応募後、次の日くらいにその研究室のボスのジョンからメールで返信が来ました。「君がやっていたのは〇〇という随分我々がやっているのと異なる分野のようだが、君がどうしてこのポジションに適切だと思うんだ?」と聞かれました。私は工学研究科にいましたので、ジョンとは畑が違うと思われたようです。

「僕はレーザーを使って〇〇の物理化学を研究していました。その間にレーザーに関する知識と技術を身につけ、今では自在に光学系を扱えます。さらにもともと有機化学や分子生物学に興味があり勉強していたので、物理、化学、生物の広い知識があります。ですのであなたのラボでやっているレーザーを使った分子・原子レベルの生物物理の研究に大きく貢献できるはずです」などと答えました。

謙虚さは大事ですが、いかに自分ができるのかのアピールも大事です。自分のできることを口に出すことは日本では何か悪いことのように捉えられますが、当然必要なことです。極端に言えば「何も言わないということは何も考えていない」ととられても仕方ないということです。

数日後に、スカイプ面接をしようとジョンから連絡が来ました。スカイプとはいえ、面接前はとても緊張したことを覚えています。私の自宅のインターネット環境が悪かったので、大学の、一人になれるラボの中でスカイプにつないで面接しました。

質問されたことは、なぜうちのラボに応募したのか、うちのラボで何を期待するかなどでした。つたない英語で一生懸命説明しました。その後ラボでの研究スタイルについての議論、また給料やティーチングタスクについての話など細かい話をしました。

最後に質問がないか問われ、自費でいいからラボに訪問させてくれとお願いしました。数年間過ごすラボだったので、その雰囲気を実際に見ておきたかったのです。ただこのスカイプ面接の時点で感触がとてもよかったので、合格になるだろうとはなんとなく思っていました。

次回は実際に訪問した際の話を書きたいと思います。

[追記] 実は、応募してからスカイプ面接の間にもうワンステップありました。私がいた京都大学の別の研究科に、過去にアムステルダムで研究されていた日本人の若い先生がおられたのです。その先生はジョンと知り合いで、私がジョンのラボにアプライした翌日くらいに、ジョンからその先生に「君の大学の○○(私です)というやつが応募してきたから、どんなやつか見てやってくれ」という連絡が行ったようです。

私はその先生とは全く面識がなかったのですが、後日その先生の前でプレゼンをすることになりました。大慌てで発表資料を整え、これまでやってきた研究の紹介とこれからやりたいことを20分程度プレゼンさせてもらいました。その後いくつかの質問に答え、無事にプレゼンを終えました。その後に軽く飲みに行こうという話しになり、飲みながら色々お話しました。

実はその先生は私と同じくお酒が大好きな方で、話もとても合いました。その先生がジョンに良いフィードバックを送ってくださったようで、それが合格に大きく影響したと思います。お忙しい中時間をとっていただいた先生には感謝すると同時に、良いご縁に恵まれたなあと思いました。ちなみにその先生とは今でも仲良しで、私が日本に帰るたびに飲みに連れて行ってもらっています。

ラボのクリスマス会と題してボーリングに行きました。
みんなびっくりするくらいヘタクソでびっくりしました。
(本文とは関係ありません。)

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2015年10月18日日曜日

留学までの道のり (1) --Naturejobsで応募--

ヨーロッパへの博士留学は、受け入れ先のボスがOKと言えば可能なパターンが多いと思います。

日本やアメリカの大学院では研究科や専攻単位での応募が普通なようですが、ヨーロッパではほとんどの博士課程の学生はボスに直接雇ってもらっていると思います。国から援助を受けて来ている人もいますが、その場合でもボスがOKと言えば所属できるのが一般的です。

私の場合も、ボスに直接アプライしました。ちょうど二年前のことです。

博士課程で留学しようと思っていたものの、中々受け入れ先が決まりませんでした。というか、そもそもどうやって博士課程の学生として留学できるのか、情報が圧倒的に不足していました。

はじめは興味を持った論文の責任著者のメールアドレスに、「自分は○○の研究をやりたいと思っている。△△や□□の知識、経験、スキルを自分は持っており、それをこういう形で活かして○○の研究を進めたい。あなたの研究室で私を雇ってもらえないか。」といった内容のメールを送ったのですが、大抵は反応なしか、「面白そうだけど今は研究室に君を雇えるお金がない。お金を自分で(奨学金などで)持ってくるなら来ていいよ。」といった返信でした。

日本の財団の奨学金にもいくつか応募したのですが、ノーチャンスでした。日本奨学生機構からお金を借りることは可能でしたが、修士修了までにすでに800万円くらい借りていたこともあり、これ以上の借金は難しい状況でした。

そんななか、色々調べていくうちにNaturejobsというウェブサイトを発見しました。これは科学雑誌のNatureが運営している求人サイトで、博士学生やポスドク、助教などの主にヨーロッパでの求人が多く掲載されています。

ためしに自分が興味があったキーワードで検索すると、ちょうど自分のやりたいことに近い研究での博士学生の募集が2件ありました。そこには給与などの情報も書かれており、早速カバーレターとCV (履歴書) を書いてそれぞれの先生に送りました。ドイツに1件、オランダに1件です。

カバーレターには1ページくらいで自分は何者で、どのポジションに応募しようとしているのか、また自分がどのようなスキル・経験を持っていてどのようにそのポジションに活かせるのか、というのをまとめます。

この場合は、向こうも学生を欲しがっているので、レスポンスはかなり早く、また具体的な質問もされました。この時点で、私はかなり可能性があるのではないかと感じました。

その後色々な過程を経て晴れて受け入れ先が決まったのですが、少し長くなってしまったのでその過程は次回書きたいと思います。

強風でも倒れないように、逆さにして駐輪している自転車。
(今回の内容とは一切関係ありません。)



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2015年10月14日水曜日

ドイツの孤島での学会

ミュンヘンから電車とフェリーで2時間半、ドイツのChiemseeという島での学会に参加してきました。

「光受容タンパク質」というかなりマニアックな学会で、オタクの75人の同胞たちとマニアックな議論が繰り広げられました。

ほぼ全員が招待されての参加です。この分野の大御所も世界中から多数参加し、学生はほとんどいませんでした。私はとてもラッキーで、招待されていた同僚のポスドクが参加できなくなったために代わりに参加させてもらえました。

秋の真っ只中、孤島でリゾートと行きたかったところですが、体育館のようなところに5日間ほぼ缶詰です。ただちょっとした休憩のときに外に出てリラックスするのはとても気持ちよく、また中日にはハイキングツアーもあって中々楽しめました。

この学会はとても面白く、自分の研究にとっても非常に実りの多いものとなりました。1000人以上集まる学会や、幅広い分野をカバーする学会も多くありますが、やはり少人数でマニアックな分野のことを議論する学会が一番楽しいです。

秋の学会シーズンも終わり、また10月になってラボには新しいポスドクもやってきました。新しい共同研究も始まりましたし、今は存分に研究を楽しみたいと思います。


Chiemsee。湖に浮かぶ島で学会でした。



小さい島でしたが、とてもきれいでした。
実際は左に見える古い体育館のようなところで5日間閉じ込められていました。



夜は地下でビールを飲みながらサッカーゲーム。
でも遊んでいるのではなく、無回転シュートの研究をしているのです。


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2015年10月5日月曜日

ダンスパーティでへろへろ

先月、同僚のトルコ人の結婚式に出席してきました。

日本国外での結婚式の出席は初めてだったのですが、非常に興味深く楽しかったです。

イスラム風の儀式の後、ホテルでの披露宴がありました。披露宴は日本と同じ感じですが、スピーチや動画などはほとんどなく、バンド演奏とともにディナーを楽しむというスタイルでした。

食事が落ち着くと任意参加のダンスパーティーが始まります。オランダに来た直後にヨーロッパ人に連れまわされたおかげで少々ダンス好きになった私も、延々続くダンスパーティーを楽しみました。

帰りのフライトは次の日の朝だったのですが、パーティーを楽しみすぎて飛行機を乗り過ごしてしまいました。。500ユーロくらいで次の便が購入できてなんとか帰国できました。痛い出費でしたがいい思い出です。

10月に入り、オランダはダークで寒い冬が近づきつつあります。ただレーザーは冬の方が安定して動いてくれるので、個人的にはウェルカムです。

それはさておき、ノーベル賞ウィークの始まりです。私にとってもっとも楽しみな1週間といっても過言ではありません。どんな研究に栄誉が与えられるのか、発表が待ちきれません。



挙式。トルコ語だったので何の儀式だったのか全く分かりませんでした。



式場から披露宴会場までクルーズ。



ダンスパーティ。休憩をはさんで5部くらいまでありました。
へろへろになるまで楽しみました。



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2015年7月11日土曜日

サマースクール参加

オランダの海辺の町で開かれた「チューリップサマースクール」に参加してきました。(実はサマースクールといいつつも4月開催で3か月も前の話になります。。)

好天にも恵まれ、内容も盛りだくさんの充実した4日間でした。

レーザーを使って研究をしている博士の学生(物理、化学の学生が主体)が50人程度、オランダやドイツ、イギリスなどヨーロッパ中から集まって講義を受け、夜は毎晩飲み明かしました。

講義は分光に関わる5人の先生が、休憩を挟んで一人当たり合計4時間ずつみっちり行うというスタイルで、きちんと勉強できました。博士課程にもなるとみっちり講義を受けて勉強するということはほとんどなくなるのでとてもいい機会でした。

同じレーザー分光をしている人間が集ったわけですが、それぞれやっていることは微妙に、ときには大きく異なります。ですので彼らとの議論で新しい知識も得られ、また自身の研究にも違った視点からツッコミを入れてくれるので非常に実りが多かったです。また積極的で好奇心旺盛な学生が多く、彼らと話をしていると科学を志した頃の初心を思い出さされました。

ソーシャルイベントと題してカートレースも開かれ、サマースクール中はおとなしかった連中も本性をあらわにし、果敢にオーバーテイクをしかけてくるなど白熱しました。(ちなみに僕は優勝チームの最終走者でしたので、ピットに帰るとヒーロー扱いでした。小さいころにやり込んだマリオカートのおかげです。)

私は日本にいたときからサマースクールには積極的に参加しましたが、こういうのもポスドク以降になるとできなくなるのかと思うと少しさびしいです。学生の間に少しでも多く参加しておきたいと思います。


講義の様子(初日)。机にはチューリップのつぼみがひとつずつ置かれています。

ポスター発表の様子。(注:発表者はぼくではありません。)

カート大会の様子。4人1チーム、12チームで楽しみました。
Heinekenの看板がオランダらしいですね。

初日はつぼみだったチューリップが、最終日にはきれいに咲いていました。


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2015年5月16日土曜日

ガラガラの飛行機

とても久しぶりに更新します。

昨年の研究が収穫の時期を向かえ、論文を数本書いています。科学者に論文執筆は言うまでもなく不可欠なのですが、私は執筆はあまり好きではないので、短期集中で仕上げようとしています。

話は変わりますが、日本のゴールデンウィークを挟んで2週間ほど、休暇で日本に帰国していました。ゴールデンウィークに大学時代の友人の結婚式があり、それに合わせて日本で休暇を取りました。(その間にたまった仕事で現在は追い込まれています。。)

アムステルダムから大阪までKLM航空の直行便が出ていて、片道12時間ほどで到着します。その間小さいシートに座りっぱなしですので足腰やお尻や精神がとても疲れます。

行きの便はそれこそ満員で一つの空席もないほどでしたが、帰りはゴールデンウィークが終わった後ということもあり、びっくりするくらいガラガラでした。みんな3列や4列のシートを独り占めできるくらいすいていて、なんだか得した気分になりました。旅の疲れも満員のときとは比べ物にならないくらい少なかったです。

飛行機がすいている時期って決まっているんでしょうかね。そういう時期に飛行機に乗れれば、大陸間移動の疲れも軽減できそうな気がします。


離陸直前の機内。ほとんど乗客がいませんでした。

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2015年2月15日日曜日

アサガオの観察日記~学生実験レポート~

1月に担当した学部生の学生実験指導の仕事も最終レポートの採点を残すのみとなりました。

この1ヶ月は私にとってはとても忙しかったですが、学生にとっても非常にタフだったと思います。学生は実験計画を書いては私にダメだしをされ、実験を始めても予想通りに結果が出ず、またタイトなスケジュールの中プレゼンとレポートをこなさなければなりませんでした。

プレゼンは実験の日程が終了した直後に行われました。プレゼンを指導をする時間はなく、ほぼぶっつけ本番で各学生が他の学生の前で10分の発表を行いました。学部2年生の学生ですし指導の時間もなかったので、プレゼンにはてんで期待していませんでした。ただふたを開けてみると多くの学生はしっかりした発表になっていました。小学校の頃からプレゼンをこなしてきたオランダ人、さすがだなと感心させられました。

レポートはWordで作成し、およそ15ページ程度のものとなります。私が日本で受けた学生実験では手書きが基本でしたが、学生にとってはどちらがいいのでしょうか。見やすさや編集のしやすさは確実にWordなどの電子形式の方が上ですが、絵やプロトコルをかくには手書きの方が便利だったりします。また手書きだと書いたときになんとなく達成感がありました。

私は20人分のレポートを採点するので、結構な量になります。ざっと見たところ、20人中半分以上はわりとちゃんと書けています。細かい点を言い出したらキリがありませんが、少なくとも疑問点とそれに対する(実験結果に基づく)それなりの回答を出しています。プレゼンといいレポートといい、オランダ人はアウトプットは上手だなと感じました。

ただ残念ながら、アサガオの観察日記になっているレポートも少なからずあります。

この「アサガオの観察日記」という言葉は、私が大学4年生のときに所属先の研究室の先生に何度も言われたものです。夜通し頑張って得た実験のデータを先生に見せても、「これじゃアサガオの観察日記と何も変わらない」と一蹴されたものです。実験データはそれ自体では重要な意味をなさず、データから何が言えるかが重要だということです。つまりしっかり考察をしろということです。

「〇〇をしました。△△になりました。」だけではアサガオの観察日記です。学生実験のレポートもこれではダメで、疑問点とその意義、疑問点を解決する方法、その方法で得た結果、結果から言える疑問点への回答、という流れが大事です。最後の「疑問点への回答」がない、もしくは不十分なレポートはアサガオの観察日記となってしまいます。

ただし正しく文章を書くには当然トレーニングが必要です。私は修士2年生くらいでやっと何かがつかめたかな、というくらいでした。今でもまだ発展途上です。私が今回指導したのは(見た目はずいぶんふけている学生もいましたが)学部2年生でしたので、その時点で大半がしっかりレポートを、アサガオの観察日記に終わらせずに書けているということには感嘆せざるを得ませんでした。

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2015年1月23日金曜日

教えながら学ぶ ~学生実験~

今月は学部2年生の学生実験の授業を受け持っています。1日4時間、週に4日間実験の指導をしています。授業がない間も、学生が書いた実験計画のチェックやレポートのアドバイス、採点などの作業があり、今月はほとんどの時間を教育に注いでいます。教育はとても大変な仕事だなあと痛感し、世の中の全ての先生を尊敬しながら日々を過ごしています。同時に教えるという過程を通して色々なことを学ばせてもらっています。

私が所属する大学では、博士課程の大学院生は講義や実験などの授業の一部も担当します。私は初めは1年生向けの講義を受け持つ予定でしたが、オランダ語が読めないために担当を外れました。その代わりに医科学専攻の学生向けに、医療機器の物理的原理の基礎を理解する実験の指導を受け持つことになりました。学生は全員オランダ人ですが、授業は英語で、10人くらいの学生を同時にみています。

学生実験で教えていて面白いことはたくさんあるのですが、今回は日本とオランダの教育の違いが垣間見えたので、少しそのことについて書いてみたいと思います。

端的に言えば、日本は「与えられた疑問に対して正しい答えを出す」ための教育で、オランダは「自ら疑問を持ち正しいアプローチで答えを得る」ための教育と言えます。ただしあくまで私個人の経験による考えです。

私は日本の修士課程にいた時も、ティーチングアシスタントとして学生実験の指導を行ったことがあります。また学部時代は学生実験の授業もいくつか履修しました。どれも半日から数日で終わり、実験マニュアルのようなものに沿って実験を進めていけばゴールにたどり着き、少し自分なりの考察を付け加えれば「優」がもらえるものでした。その代わり内容そのものはある程度高度なものを扱い、色々な種類の実験に短期間で取り組んだ記憶があります。大学やコースによってもちろん異なるでしょうが、日本での学生実験はこんな感じだと思います。正直に言うと、日本でのティーチングアシスタントは非常に簡単でした。ただ同じ部屋にいて、学生がマニュアルに沿って勝手に実験し、質問があれば答えるくらいでよかったからです。

オランダの私がいる大学では実験のマニュアルといったものはなく、学生はまず自ら疑問を持つことから始めます。ここが日本との大きな違いです。またひとつの実験に丸々2週間費やします(2つの実験を選ぶので計4週間)。その間、実験に関係のない講義はなく、学生は実験だけに集中します。またマニュアルがなく自由度が高い分、私のような博士学生のアシストが重要になってきます。

第一のステップは装置の原理や使用方法を理解し、自ら実験課題(疑問)を見つけることです。自ら疑問を持つといってもすんなりといく人はまれで、初めは色々装置を触ってみて疑問をなんとか絞り出します。学生は疑問を持ったら、私を説得しなければなりません。私がオッケーと言わないと次のステップに進めないからです。

多くの学生は初めはとても漠然とした疑問を持ちます。そして解決方法もあいまいです。学生の疑問とその解決方法をより具体的にするように、私が少しずつガイドしていきます。また、学生に疑問に対する答えの予測をさせ、なぜそう思うかを予備実験のデータや理論式とともに簡単に示してもらいます。そしてA4数ページの実験計画書を書いてもらい、それが論理的で実行可能と私が判断すればゴーサインを出します。その時点でもう1週間の大半は経過します。

学生が困っているときの私の役目は答えを教えることではなく、あくまでアドバイスをすることです。私が答えを教えれば早いのですが、それは「自ら考える」という趣旨に反しているので極力しません。小さなヒントで十分な学生もいれば、かなり答えに近いヒントを出しても重要なポイントに気付かない学生もいます。また理解度も学生によってまちまちなので、この学生はどこまでわかっているからどのくらいのヒントが適切か、ということにいつも気をつかっています。

晴れて実験計画が完成したら、今度は実験、解析、レポート、プレゼンへと移っていきます。これらの過程の指導でも色々面白いことがあるのですが、少し長くなってしまったので今回はここでやめておきます。

今回書いたように学生実験において「自らゴールを設定する」というプロセスがあることはまさに目からうろこで、これは学生にとっていい訓練になっていると思います。


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2015年1月5日月曜日

オランダ流除夜の鐘

今回は初めてヨーロッパで年越しでしたが、アムステルダムはクレイジーでした。

新年を花火とともに迎えるという国は多いようですが、オランダも例にもれず花火が人気です。花火大会のような催しもあったようですが、個人で購入して楽しむのが主流のようです。

なんでも年に年末年始を含めた数日しか花火が許可されていないらしく、若者を中心にこどもからおばあちゃんまで街中の皆がここぞとばかりに花火を楽しんでいました。

といっても、私が知っている花火とはわけが違いました。日本だと川辺や公園などの広いところでするのが花火の常識ですが、ここの人たちにそんな常識はありません。

日が変わる瞬間、まるで銃撃戦でも始まったかのような爆音・爆煙とともに、街のど真ん中それこそ360度どの方向においても花火が上がっていました。基本は打ち上げ花火ですが、威力は日本で市販されているものの何倍もあるように感じました。

また打ち上げ花火を垂直だけでなくわざと寝かして設置したり、手にもって火薬に火がつく直前に投げたりする危ない人も結構いて、本当に死者が出るんじゃないかと思うくらいでした。2時間くらいしたら徐々に収まっていきましたが、本当にクレイジーな人たちだなと思いました。

ここでの年越しも非常に楽しくいい経験になりましたが、やはり私は除夜の鐘とともに静かに迎える日本での年越しが好きだなあと感じました。

トラムの線路からも炎が上がっていました。